これって顎関節症?~治療方法と影響する生活習慣~
みなさんは「顎関節症」がどのような症状かご存知ですか?
「口を開けたときに音がする」「痛みがある」「口が開かない」といった症状がありますが、重症度や治療方法はそれぞれ異なります。
今回は症状別の治療方法や、顎関節症に影響する生活習慣はどのようなものがあるのかをお話しします。
顎関節はどこ?
顎関節は上顎骨のくぼみと下顎骨の先端のあいだにある関節です。
靭帯に支えられていて、すき間をクッションとなる組織と液体(滑液)が満たしており、それを筋肉が覆っているのです。
そして顎関節症は、
①顎関節の内部か、②顎関節を覆う筋肉に異常が起きたときに発症します。
症状①「音がする」
口を開けたときに、顎関節から「カクッ」「コキッ」といった音がするというのは典型的な顎関節症の症状ですが、いちばん軽度の症状なので過度に心配する必要はなく、とくに治療の必要はありません。
症状②「痛みがある」
「口を開けたり噛みしめたりすると痛みがある」、または「今まで音がするだけだったのが痛むようになった」といった場合は、できるだけ早く(遅くとも一週間以内)歯科を受診しましょう。
歯科では、痛みの原因が顎関節の内部にあるのか、顎関節を覆う筋肉にあるのかを判断してから、指導や治療を行います。
どちらが原因でも、無理に口を開けたり、痛みが出たりするような顎の動きはしないように安静にしましょう。
安静にしても痛みが引かないなら、鎮痛剤を処方したり、あごの負担を減らすマウスピースをつくります。
マウスピースはおもに就寝中に装着していただきます。
症状③「口が開かない」
「口が開かない」場合、ほぼ顎関節の内部に問題が起きています。なるべく早く歯科を受診しましょう。
顎関節では、上顎骨と下顎骨のあいだに「関節(かんせつ)円板(えんばん)」という平べったい組織があります。
下顎骨が動くときにこの組織がクッションのような役割を果たすおかげで、スムーズに口の開口ができます。
しかしこれが何かの拍子にずれてあごの動きを阻害するようになると、口が開かなくなるのです。
歯科では、ずれた関節円板を少しずつ動かし、正しい位置に戻すため治療(マニピュレーション)を行います。
マニピュレーションが難しかったり、その後も開けにくさが残る場合は、開口訓練を行います。
この方法は、少しずつリハビリして開けられるようにしていくというもので、固くなった関節をストレッチでやわらかくするイメージです。
🚫やってはいけないこと🚫
わざと音を鳴らす
口を開けたときに音がする人は、気になるからといってカクカク音を鳴らすのはやめましょう。
音を鳴らす顎関節の動きは、必ずしも食べるときの運動と同じではなく、関節円板のずれをまねくなど悪い影響をもたらす可能性があります。
あごの筋トレ
「顎関節も筋肉と同じように鍛えたら強くなる」というのは間違いです。
無理して硬いものを噛んでも成長期が終わった人には影響はなく、むしろ顎関節を痛めてしまいます。
たとえ成長期の人であっても、過度の負担をかけることは避けましょう。
顎関節症に影響する習慣は?
顎関節症のリスクになっている生活習慣は以下のものがあります。
どんなものが当てはまるかチェックしてみましょう☑
☐①スマホを見る時間が増えた
☐②猫背気味である
☐③オンライン(リモートワーク)中心の生活をしている
☐④よく頬杖をつく
☐⑤うつぶせで寝る習慣がある
☐⑥バイオリンや吹奏楽器を演奏する
☐⑦気が付くと上下の歯がくっついている
☐⑧寝ているときの歯ぎしりを指摘されたことがある
☐⑨朝起きると、頬から下あごのえらにかけてだるさがある
☐⑩歯がすり減ってきた
①~⑥にチェックが入った方
スマホやパソコンを見るときに、下を向いたり、前傾姿勢や猫背になったりしていませんか?
また、頬杖やうつぶせ寝の癖がある方、これらは顎関節への負担になるので注意しましょう。
部活動や趣味で長時間バイオリン(あごで楽器を支える)や吹奏楽器(口で楽器をくわえる)を演奏されている方も、顎関節症になりやすいです。
⑦にチェックが入った方
ものを食べていないときは、ふつう上下の歯のあいだはわずかに開いています。
しかし無意識に上下の歯を噛み合わせることが癖になっている方もいます。
これは「TCH」(歯列接触癖)と呼ばれます。
改善にはご自身にTCHがあることをまず認識することです。上下の歯が当たっていることに気づいたら、意識的に離すようにしましょう。
⑧~⑩にチェックが入った方
睡眠中の歯ぎしりや噛みしめは、顎関節症の大きな原因です。
朝起きるとあごにだるさがある、歯がすり減ってきたというのは、典型的な歯ぎしりや噛みしめの症状です。
睡眠中にマウスピースを装着すると、緩和されることがあります。
変えられることから変えていきましょう~例えばスマホ~
うつぶせ寝や睡眠中の歯ぎしり、TCHの習慣は、そうそう変えられるものではないですが、意識して変えることが可能な要因のひとつが「スマホ」です。
画面を見るときの姿勢の改善や、長時間にならないように15~30分ごとにインターバルを置くなど、意識していくとよいでしょう。
顎関節症は、虫歯や歯周病と同じく早めに対処するほど、症状の改善が速やかです。
症状が気になっている方は松友歯科クリニックにご相談くださいね。