歯周病と認知症~歯周病が認知症の進行を早める!?~
歯周病が歯を失う原因第一位なだけではなく、糖尿病をはじめとする全身疾患に深く関わりがある、ということは最近よく知られてきました。
今回はその中でも「歯周病が認知症に与える影響」についてご説明したいと思います。
➀認知症発生のお口からの要因
認知症は複合的な要因から起こります。
口腔内からの要因として、これまでも知られてきたのは「歯を失って噛めなくなると、噛むことによる脳への刺激が減少し、認知症になる」という点です。
歯と歯を噛み合わせた時の刺激は、歯根にある歯根膜から脳に伝わります。
そしてその刺激は、脳における感覚、運動、記憶や意欲等を司っている部位の活性化に繋がります。
つまり、歯周病等により歯を失ってしまうと、脳への刺激が無くなり、脳の働き(認知機能)に影響を与えてしまうのです。
②脳に直接影響する歯周病菌『Pg菌』
近年の研究で新たに分かってきたことは、「歯周病菌そのものが認知機能を奪っている」可能性があるということです。
歯周病菌の中でも病原性の高い、ラスボス的存在が『ポルフィロモナス・ジンジバリス菌(Pg菌)』です。
Pg菌が厄介なのは、周囲の細胞に対して歯周病の悪化を促すだけではなく、『ジンジバイン』と呼ばれる強力なタンパク質分解酵素を出す事です。
近年の研究で「脳に入り込んだPg菌が出すタンパク質分解酵素ジンジバインが脳神経細胞を変質させ、アルツハイマー型認知症を進行させている可能性がある」ということが分かってきました。
③Pg菌が体内に入ると何が起こるか
このような可能性が指摘されています。
④アルツハイマー型認知症のメカニズムとジンバイン
アルツハイマー型認知症の原因として考えられるのはアミロイドβです。
これは、脳の神経細胞から生じたゴミです。
アミロイドβは通常、短時間で分解され脳の外に排出されます。
しかし、アミロイドβ同士がくっついて異常な形になると、脳外に排出されることなく、脳内に堆積していきます。
そうすると、アミロイドβの毒性により、神経細胞内に異常な「タウタンパク質」が作られ、神経細胞が機能不全や死滅に至り、徐々に脳が委縮していき、認知症が発症します。
脳に入り込んだPg菌が出す「ジンジバイン」は、脳細胞によるアミロイドβの分解を阻害し、認知症を進行すると考えられているのです。
米国では、アルツハイマー型認知症の治療薬として、ジンジバイン阻害薬の研究が進められています。
加齢とともに、歯周組織や免疫が弱まると、どうしても歯周病になりやすくなります。
元気なうちから歯周病を予防していくこと、歯周病になってしまったら歯科医院で悪化しないよう根気強く治療していくことで、健康寿命を延ばしていきましょう!
松友歯科クリニックでは専任の歯科衛生士による予防歯科・歯周病治療にも力を入れております。
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歯科衛生士と患者様と二人三脚で、予防・歯周病ケアを頑張っていきましょう!