顎の骨が少ない人でもインプラント治療ができる!骨造成について解説
こんにちは。愛媛県松山市にある松友歯科クリニックです。
顎の骨が少ない人がインプラント治療を希望する場合、顎の骨を増やすために骨造成を行うことがあります。顎の骨の量や厚みが条件を満たせば、インプラント治療を受けられるようになるでしょう。
今回は、インプラント治療における骨造成について詳しく解説します。
INDEX
顎の骨が少ないとインプラント治療は受けられない?
インプラント治療とは、顎の骨に金属でできた人工歯根を埋め込んで失った歯を補う治療です。土台となる顎の骨には、十分な厚みや幅が必要になります。
顎の骨が十分にない場所に無理やりインプラントを埋め込むと、顎の骨に炎症を引き起こす、神経や血管を圧迫するなどの悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、顎の骨が少ない状態では、インプラント治療は受けられません。
顎の骨が少なくなる4つの原因
顎の骨が少なくなる原因は、以下のとおりです。
歯周病に罹患していた
歯周病は歯周病菌による感染症で、歯を支える組織を破壊する病気です。
最初は歯茎の腫れや歯茎からの出血といった症状が現れます。進行すると歯を支える顎の骨が溶かされ、最終的には歯を支えられなくなり抜け落ちることがあります。
歯を失った原因が歯周病だった場合、顎の骨が大きく溶かされて少なくなっている可能性が高いです。
合わない入れ歯を使用していた
歯を失ったあと、合わない入れ歯を長期間使用することも、顎の骨が少なくなる原因です。歯茎に過剰な圧力がかかり、負担に耐えきれなくなると顎の骨が痩せます。
歯を失ったあと放置していた
歯を失ったあと歯を補う治療を受けずに長期間放置すると、次第に顎の骨は痩せます。噛む刺激が顎の骨に伝わらなくなるためです。
強い力がかかりすぎることもよくありませんが、力がまったくかからない場合も、顎の骨は少なくなるのです。
生まれつき顎の骨が少ない
生まれつき、顎の骨が薄い場合もあります。上顎のすぐ上には、上顎洞(じょうがくどう)という大きな空洞があります。上顎洞とお口の位置が生まれつき近い人は、上顎の骨が薄い場合が多いです。
生まれつき顎の骨が少ない人が上顎の奥歯を失った場合、顎の骨が痩せてさらに骨が少なくなります。
顎の骨が少ない人に必要な治療
インプラントを埋め込むための骨の量や厚みが足りない場合、昔はインプラント治療の適応外となって治療を受けられませんでした。
しかし、近年では骨造成という治療を受けることで、インプラントを受けられるようになる場合があります。骨造成は、人工的に骨を厚くする治療です。
骨造成には主に3つの方法があります。それぞれ詳しく確認しましょう。
ソケットリフト
上顎の高さが足りない場合に行われる術式です。インプラント治療をするには骨の高さが十分ではないものの、6mm以上あるケースで行われます。
インプラントを埋める部分の上顎洞の1mm手前までドリルで穴をあけ、専用の器具で上顎洞の底部分を押し上げます。押し上げてできたスペースに移植骨を充填し、インプラントを埋入できるだけの厚みを作り出すのです。
骨造成と同じタイミングでインプラントを埋めることも可能なので、手術回数を増やさずに受けられることがメリットでしょう。
サイナスリフト
上顎の高さが足りない症例で、上顎の骨の高さが5mm以下の場合に行われる術式です。
まず、頬側の歯肉を切開して部分的に骨を取り除きます。生まれたスペースに骨補填材を充填したあと、取り除いた骨をもとに戻して再び縫合します。
6か月ほど骨が作られるのを待って、インプラントの埋入手術を行うことが多いです。骨充填材の種類などは日々増えており、技術も進歩しています。骨の再生まで6か月もかからない方法もあるでしょう。
GBR法
骨の厚みや高さが足りない場合に行われる術式です。骨誘導再生療法ともいわれます。
歯肉を切開して剥離させて、骨補填材または粉砕した自家骨を置き、特殊な保護膜で覆います。3〜6か月ほど待つと、骨が再生されて骨の量が増えるのです。
増やしたい骨の量が少ない場合は、同時にインプラント埋入手術を行えます。増やしたい骨の量が多い場合は、骨が十分に再生されてから別日に手術を行うのが一般的です。
骨造成のメリット・デメリット
骨造成をすることで、今まではインプラント治療ができなかったケースも治療が可能になります。骨造成のメリットとデメリットをご紹介します。
骨造成のメリット
骨造成のメリットは、以下のとおりです。
インプラント治療の安全性が高まる
骨の量や厚みが少ないままインプラント治療を行うと、インプラントが安定しない、インプラント体が骨から飛び出すなどのトラブルが起きる可能性があります。
骨造成を行って骨がしっかりと作られれば、危険を回避して安全に手術を行えるようになるでしょう。
インプラントが長期的に安定する
骨の量や厚みが少ないと、インプラントが安定しないなどのトラブルが起きやすいです。骨造成を行うことで、インプラントがぐらつくなどのトラブルが起きにくくなります。長期に渡って安定して使用できるでしょう。
インプラント埋入後の審美性が高くなる
骨が少ない状態でインプラント治療を受けると、歯茎が下がっているため見た目が悪くなります。骨造成をすることで、歯茎の状態が改善されて審美性が高まるでしょう。
骨造成のデメリット
骨造成のデメリットは、以下のとおりです。
手術を伴うので痛みや腫れが生じる可能性がある
インプラントの骨造成は、外科手術にあたる負担の大きい治療です。手術の最中は麻酔が効いているため痛みを感じることはありませんが、術後1週間ほど痛みや腫れが生じる可能性があります。
トータルの治療期間が長くなる
骨造成をする場合、骨が増えてしっかりと硬くなるまでに数か月程度かかります。1年ほどかかる場合もあるので、トータルの治療期間が長くなるでしょう。
全身疾患や喫煙習慣があると受けられない場合がある
骨造成は負担の大きい外科手術です。術部が感染するリスクが高いため、糖尿病などの感染リスクが高くなる疾患を持っている場合は、治療を受けられないかもしれません。
また、喫煙習慣がある人は傷の治りが悪くなるため、手術を受けられないことがあります。
骨造成を必要とするインプラント治療の流れ
インプラント埋入手術と同時に骨造成を行えるか、骨造成手術を行って骨の量を増やしてからインプラントを埋入するかによって、治療の流れは変わります。
大まかな治療の流れは、以下のとおりです。
術前検査と治療計画の立案
インプラント治療をする前に、CT撮影やレントゲン撮影などの術前検査を行います。インプラントを埋入できる状態かを判断し、治療計画を立てるのです。
骨の量や厚みが足りない場合は、骨造成手術の必要性を判断します。
骨造成
ソケットリフト・サイナスリフト・GBR法などの骨造成手術を行います。
増やしたい骨の量が比較的少なく、同時にインプラント埋入手術を行える場合は同時に行うでしょう。先に骨造成手術を行って骨の量が増えるのを待つ場合は、3〜6か月程度、骨が再生するのを待ちます。
インプラント埋入手術
先に骨造成のみ行う場合は、骨が再生してからインプラント埋入手術を行います。インプラント埋入手術には1回法と2回法がありますが、2回法で行われることが多いです。
2回法
一次手術では、歯茎を切開して顎の骨を露出させ、インプラントを埋め込みます。歯茎をもとに戻し縫合します。インプラントが骨と結合するのを待ってから、二次手術を行うのです。
二次手術では、埋め込んだインプラントを再び露出させて、アバットメントを取り付けます。アバットメントとは、人工歯根と人工歯をつなぐパーツです。
1回法の場合
2回法と同様、まず歯茎を切開して顎の骨にインプラントを埋め込みます。1回法では、アバットメントとインプラント体が一体化したものを埋め込むので、二次手術は必要ありません。
歯茎の上にインプラントを露出させて縫合します。
人工歯の型取りと装着
インプラントと骨の結合を確認できたら、上に被せる人工歯の型取りを行います。周囲の歯の色とのバランスを考えて作製し、装着して治療は終了です。
メンテナンス
インプラント埋入して人工歯を被せたら終わり、ではありません。インプラントは人工物ですが、天然歯と同じようにメンテナンスする必要があります。
インプラントの歯周病とも呼ばれるインプラント周囲炎になると、インプラントが脱落する可能性があります。必ず定期的にメンテナンスを受けて、トラブルを予防しましょう。
骨造成の費用
骨造成の費用は、行う術式によって異なります。インプラント治療が自費診療なので、インプラント治療に伴って行われる骨造成も、自費診療になります。
インプラント治療の費用に加えて骨造成の手術代が必要になるので、高額になるケースが多いです。骨造成術の種類ごとの費用相場は、以下のとおりです。
- ソケットリフト:30,000〜100,000円程度
- サイナスリフト:150,000〜300,000円程度
- GBR法:100,000〜150,000円程度
歯科医院によって費用の設定や使用する材料が異なります。実際の費用は、治療を受ける予定の歯科医院で確認してください。
まとめ
骨造成を行えば、骨の厚みや量が少ないことでインプラント治療を受けられなかった人でも、治療できるようになります。
骨造成は自費治療になるため、インプラント治療と合わせると非常に高額になることが多いでしょう。術前の検査の結果、骨の量が少ないと判断された場合は、歯科医師と相談して骨造成を検討してください。
インプラント治療を検討されている方は、愛媛県松山市にある松友歯科クリニックにお気軽にご相談ください。