歯の外傷とは?種類や基本的な治療方法と費用、よくある原因や予防方法
こんにちは。愛媛県松山市にある松友歯科クリニックです。
「歯が欠けた」「転んで歯を打ってグラグラしている」といった歯の外傷は、日常生活で誰にでも起こり得る予期せぬトラブルです。適切な対処を行わないと、受傷時の出血や痛みだけでなく、将来的な歯の健康にも影響を与える恐れがあります。
この記事では、歯の外傷の種類、基本的な治療方法と費用、原因や予防方法について詳しく解説します。外傷が生じた際には、落ち着いて適切に対処できるよう参考にしてください。
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歯の外傷とは
歯の外傷とは、外部からの強い衝撃によって歯や歯を支える周辺組織に起こる損傷のことです。転倒や衝突、スポーツ中の事故、交通事故、硬い物を噛んだことによるものなど、原因はさまざまです。
また、外傷を負う可能性があるのは、歯だけではありません。歯を支える骨(歯槽骨)や、歯と骨をつなぐ組織(歯根膜)、歯茎、歯の内部にある神経や血管が通る組織(歯髄)なども損傷することがあります。
外傷の程度は軽度から重度なものまでさまざまですが、適切な処置を早期に行うことが、その後の歯の寿命を左右します。特に、永久歯を失うとその後の生活にも大きな影響を与えるため、適切な対応を取る必要があります。
歯の外傷の種類
歯の外傷は、損傷を受けた部位や状態によっていくつかの種類に分類されます。ここでは、代表的な外傷の種類について詳しく見ていきましょう。
破折・亀裂
歯の破折とは、歯が欠けたり割れたりする状態を指し、亀裂は歯の表面にひびが入った状態です。破折は、生じた場所や程度によって治療法も大きく異なります。
歯冠破折
歯冠破折は、歯の見える部分である歯冠が割れたり欠けたりする状態を指します。歯の外側を覆うエナメル質のみの損傷では、欠けた部分が小さければ見た目への影響はほとんどありません。引っ掛かる部分を研磨するだけで対応できることもあります。
しかし、破折がエナメル質の内部の組織である象牙質まで及ぶと、冷たいものや熱いものがしみるなどの症状が出ることがあります。象牙質まで達した破折では、破折した部分に詰め物をして修復する処置などが行われます。
さらに、破折が象牙質の内部にある神経や血管の通る歯髄にまで達した場合には、強い痛みが発生します。細菌感染のリスクも高いため早急な治療が必要で、感染した神経を除去し清掃・消毒する根管治療が必要になる場合があります。
歯根破折
歯根破折は、歯の根の部分が折れた状態で、噛むと痛みが出たり、歯がぐらついたりする症状が出ることがあります。歯根部分は歯茎で隠れていて外見からは分かりにくいため、レントゲンを撮って診断します。
破折の程度や方向、位置によって予後が異なり、特に歯根が縦方向に破折すると、予後が悪く抜歯となるケースが多いです。
脱臼
歯の脱臼とは、歯根膜や歯槽骨などの歯を支える組織が損傷を受けた状態です。歯が本来の位置からずれたり、完全に抜け落ちたりすることもあります。
脱落
脱落は、歯が完全に抜け落ちた状態です。抜け落ちた歯を、牛乳や生理食塩水に浸すなど適切な方法で保存し、できるだけ早く歯科医院を受診すれば再植できる可能性があります。再植の成功率は、抜けた歯の保存状態と受診までの時間に大きく左右されます。
亜脱臼
亜脱臼は、歯を支える組織が損傷を受け、歯がぐらぐらと動揺している状態です。完全に歯が抜け落ちているわけではないため、歯を固定する治療(固定術)を行います。
陥入・挺出
陥入は、歯が歯槽骨の中にめり込んでしまう状態で、見た目には歯が短くなったように見えます。挺出は歯が浮き上がった状態で長く伸びたように見えます。治療には、矯正的な引き上げや外科的処置が必要となる場合があります。
歯髄損傷
歯髄損傷とは、歯の内部にある神経や血管が通っている組織(歯髄)が損傷を受けた状態を指します。症状としては、冷たいものや熱いものに過敏になり、放置すると強い痛みや腫れを引き起こすことがあります。
歯髄損傷は、破折や脱臼に伴って発生するほか、外見上は歯が欠けたり割れたりしていなくても、発生することがあります。その場合、時間が経つにつれて歯が黒っぽく変色してきたり、根の先に膿が溜まってきたりします。
これは、強い衝撃を受けたことで歯髄が壊死して起こる症状で、根管治療が必要です。
歯槽骨骨折
歯槽骨骨折は、歯を支えている顎の骨(歯槽骨)が折れた状態を指します。歯の脱臼や破折と同時に起こることがあり、歯の動揺や強い痛み、歯茎や周囲の腫れを伴うケースが多いです。骨折の程度によっては、手術が必要になることもあります。
歯の外傷の基本的な治療方法と費用
歯の外傷の治療は、外傷の種類と程度に応じて異なります。以下に、一般的な治療法と費用を詳しく解説します。
歯冠破折の場合
軽度の歯冠破折では、欠けた部分を研磨したり、コンポジットレジンと呼ばれる歯科用プラスチックを詰めて修復したりする治療を行います。治療費用は、保険適用で3,000円程度です。
また、重度の歯冠破折では、根管治療や被せ物による修復が必要になることがあります。被せ物の装着費用は、保険適用の金属やプラスチック製のものは5,000円から1万5,000円程度が相場です。自由診療で作製する審美性の高いセラミックは被せ物で5万円以上かかります。
脱臼の場合
歯を元の位置に戻して固定したり、抜け落ちた歯を再植したりする処置が行われます。軽度の脱臼の場合は5,000円から1万5,000円程度が相場です。中等度から重度の脱臼の場合、歯の固定や根管治療の費用として1万5,000円から5万円程度かかることがあります。
また、完全に抜け落ちた歯を再植する場合、初期の処置から必要に応じて行われる根管治療まで含めると、5万円以上かかることがあります。重度の損傷がある場合は複数回の治療が必要になることもあり、その場合はさらに費用がかさむ可能性があります。
歯髄損傷の場合
歯髄を損傷した場合、歯を残すために感染した神経を除去し、清掃・消毒する根管治療が必要になることがあります。損傷した歯の種類や状態にもよりますが、治療費用は保険適用で5,000円から1万円程度です。
歯槽骨骨折の場合
骨折が重度の場合、外科手術が必要になることがあります。場合によっては、費用が数十万円程度かかることがあります。外科手術の後は、定期的に経過観察を行って歯周組織の回復を見守ります。
歯の外傷でよくある原因と予防方法
歯の外傷は、日常生活やスポーツ中の事故などで発生することが多いです。以下に、よくある原因と予防方法を解説します。
よくある原因
日常生活やスポーツ中に転倒したり、他の人や物に衝突したりすることで歯が損傷することがあります。特に、ラグビーやバスケットボールなどのプレイヤー同士が直接接触することのあるスポーツでは、歯の外傷が発生しやすいです。
車や自転車の事故で、顔や口に衝撃を受けることもあります。家庭内での転倒や物にぶつかることも、外傷の原因となり得ます。氷やキャンディーなどの硬いものを噛み、歯を損傷させるケースもあるでしょう。
予防方法
スポーツ時には、マウスガードを使用することで、歯や口腔の外傷を予防できます。家庭内での転倒や衝突を防ぐために、家具の配置や床の状態を整えたり、自転車や車の運転時にはヘルメットやシートベルトを着用したりすることも重要です。
歯が欠けるのを防ぐため、氷やキャンディーなどを強く噛むのも避けましょう。
歯の外傷を放置するリスク
歯の外傷を放置すると、歯の亀裂や破折が進行して噛む力が弱くなったり、食事や会話が困難になったりするなど、歯の機能が損なわれることがあります。また、歯髄が損傷したまま放置すると、炎症や壊死が進行し、激しい痛みや腫れが生じます。
最終的には歯を失うリスクが高まります。さらに、歯の外傷が原因で噛み合わせのバランスが崩れると、他の歯や顎に負担がかかったり、歯茎や歯槽骨に悪影響を及ぼしたりします。歯周病のリスクが増すことも考えられるでしょう。
これらのリスクを避けるためにも、早期に適切な治療を受けることが重要です。特に、歯が抜けた場合は、歯の保存状態と受診までの時間で再植の成功率が大きく左右されるため素早い対応が必要です。
まとめ
歯の外傷は、突然発生する予期せぬトラブルです。適切な知識と迅速な対応があれば、歯を守れる可能性が高まります。
歯の外傷でお悩みの方は、愛媛県松山市にある松友歯科クリニックにお気軽にご相談ください。
当院では、一般歯科や小児歯科・小児矯正、ホワイトニング、インプラントなど、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら、お電話でのご予約もお待ちしております。